佐藤さとるさん作「てのひら島はどこにある」について
佐藤さとるさんの作品はファンタジー要素が多くありながら、現実味があり、ロマンティックな作品が多い。
私が最初に出会った作品は誰も知らない小さな国という小人の出てくる話であった。
その話が面白く、佐藤さとるさんの本を多く読んだ。
その中でも、「てのひら島はどこにある」という作品はとても好きな作品の一つである。
話の概要としては、イタズラ好きな太郎という男の子がいて、その男の子のイタズラをお母さんが、なだめるためにお話を作った。
その話の内容はイタズラ虫のクルクルが出てくる内容である。
太郎のイタズラはそのイタズラ虫のせいだよということを伝えていく。
また、太郎の双子の姉も泣くことが多いので、泣き虫のアンアンとシクシクというのもお母さんの話に出てきた。
その内、子供達が自分たちで話を作り始めた。
虫の種類も増えて、いばり虫のえへんや怒り虫のプンプンなども登場する。
このように、人の怒りある感情をある種擬人化して子供たちに分かりやすく伝えている作品である。
当時の私はこの作品を読み、面白さを感じた。
そして、大人になった後読み返して見ると新たな発見があった。
子供たちの中には感情のコントロールが苦手な子供もいる。
そのような子供たちにこの作品を読んでもらい、感情一つ一つを意味付けしていくことができたら、良いのでないかと。
感情にどんな種類があるのか、どのように表現すれば良いのかが分かり、言語化できるようになると、人は少しずつ落ち着いていく。
その、最初のきっかけになる物語であると思うので、子供たちに読んでもらいたいと思う。
学校などでも、朝の時間に国語という枠組みで読み聞かせをしてみても良いと思う。
そこから、道徳の授業などに発展させて、気持ちとはなんなのか、もし、怒りやイライラなどの気持ちが自分の中で現れたらどうすれば良いかなどを考えるきっかけになると思う。
大人も子供も共通であるが、自分が今抱いている気持ちを表現できないと辛いものである。
気持ちを表す練習になれば良いと思った。