住友シゲルは休めない

住友茂の多動な日々

ドキドキ学園第3話

午前中いつものごとく課題も終わったので今日は屋上へ行く。

 

基本的に学校という所は屋上への侵入を制限しているところが多いが、私の学校はなぜか屋上へ自由に入ることができる。

 

テーマ学習が基本であり、どこでその課題をやっても良いという点や好きな服装や姿勢で学習できるという点からどうも学校自体が様々な場所を提供し、本人たちがどこでなら学習しやすいのかを考えて学んでほしいという思いがあってのことらしい。

 

私自身小学校の頃は席に座って勉強するなどということが大の苦手であり、苦痛であったためこのような配慮に関してはとてもありがたいと思っている。

 

そもそも、今まで学んできた教育課程というものは私にとってあまりにも簡単すぎたため、うまく適応することができなかった。

 

そのせいで、色々と問題も起こしたこともあるし、社会性たるものが身に付かなかったと思う節もある。

 

社会性が身につかなかったからこそ、ここの学園に来ているという面もあるが、何はともあれこの学園は私にとって楽園であり、居場所ではあると考えてはいる。

 

楽園を追放されるのはいつになるのかはわからないが。

 

そんなことを考えながら屋上へ向かうとどうも先客がいたらしい。

 

「今日は屋上で時間潰しかい?」

 

白衣を着て、タバコを吸っている男が私に話しかけてきた。

 

「ええ、今日はそんな気分なんですよ。先生こそこんな朝早くからタバコを吸って仕事サボってて良いのですか?」

 

まだ、授業が始まり15分ほどしか立っていない。今頃某教育番組では小学生に向けての理科やら数学を教える茶番劇が放送されているだろう。

 

「まぁ今日中に仕事終わらせればそれで良いから今は休憩してるんだよ。それに、こうリラックスすると良い課題も思いつくからな。そんなことより、もし暇なら議論でもしようじゃないか。その方が俺も課題が思いつくからな。」

 

存在自体が大雑把で雑な割に議論を好む先生である。とはいうもののいつもする議論といえば本当にどうでも良いことであり、きのこ派たけのこ派かという内容や珈琲の好みやお酒の話などどうでも良いことばかり話してくる。

 

「何を話そうというのですか?」

私がそう尋ねると妙に真剣な顔になり議題を提案してきた。

 

「人生ってなんだと思う?」

 

何やら風呂敷を広げすぎてしまい、結果収集がつかなくなりそうな話題を提案してきた。

 

こんな議題を出してきたということは相当今日は面倒な日になるのだなという直感的なものを感じてしまうし、できればこの場から逃げたくなってしまう。そもそも、こんな話など真面目に話して何になるかどうにもならないと感じているのでできれば避けたい話題ではあるのだが…

 

そう思いながらも先生は基本的に相手の表情や雰囲気から気持ちを察することができないタイプの人間なので一方的に話してくるのであった。